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インプラントの素材に「チタン」が使われる理由


一般的に、インプラントパーツ(フィクスチャー、アバットメント)の素材にはチタン金属が使われます。


チタンはその硬さでよく知られていますが、硬さのほかにも骨との結合のしやすさ、金属アレルギーを起こしにくい点など、チタンにはさまざまなメリットがあります。


今回は「インプラントの素材に「チタン」が使われる理由」についてのお話です。


■インプラントの素材にチタンが使われる理由


理由① 生体親和性が高く、身体に馴染みやすい

生体親和性(せいたいしんわせい)とは、身体への馴染みやすさ、身体への優しさを指す言葉です。


チタンは遷移金属であり元素が安定しているため金属イオンが溶け出しにくく、生体親和性が高いです。


インプラントのほか、人工関節や骨をつなぎ留めるプレート、人工心臓のパーツ、手術器具など、医療の世界では幅広くチタンが用いられています。


理由② 骨と結合しやすい

チタンは骨と結合しやすい性質があります。チタンと骨との結合は単なる接着剤によるものではなく、生体的にチタンと骨が結合する「オッセオインテグレーション」という生体的現象です(1952年、スウェーデンの医学博士のブローネマルク教授が発見)。


現代の歯科インプラントはチタン金属と骨との結合によるオッセオインテグレーションの原理を基に治療が行われています(※)。


(※)セラミック製のジルコニアインプラントを用いる方法もあります。


インプラント治療では、チタンのザラザラした表面(加工した表面)に顎の骨組織が入り込み、顕微鏡レベルの細かさでチタンと骨が強固に結合します(=オッセオインテグレーション現象)。


オッセオインテグレーションにより強固な骨結合が得られるため、結合後に通常の使用でインプラントがずれたり外れることはほぼありません。インプラント手術後はご自身の歯に近い感覚で安定して硬い物も噛めるようになります。


理由③ 強度が高く、しなやかさがある

チタンは強度が高く、しなやかさがある金属です。


一般的にインプラントパーツの素材として使われるチタン合金の強度(引張り強さ:MPa(メガパスカル))は800~1,000MPa前後であり、鉄(400MPa前後)の約2.5倍、ステンレス(500MPa前後)の約2倍の強度を誇ります。強度が高いため、チタンから作られているインプラントパーツは欠けや割れを起こしにくいです。


強度の高さに加え、チタンはしなやかさも併せ持ちます。しなやかさ(たわみやすさ)を測るヤング率(100に近づくほどしなやかさがある)においてチタンは106GPa(ギガパスカル)であり、鉄(206GPa)、ステンレス(200GPa)と比べて約2倍のしなやかさがあります。


適度なしなやかさにより、噛んだときの負荷をインプラントパーツで受け止めやすい点も、チタン金属がインプラントの素材に使われる理由の一つです。


理由④ 鉄やステンレスよりも軽い

物質の重さを測る比重において、チタンは約4.51、鉄は約7.8、ステンレスは約7.9です。


チタンは鉄やステンレスと比べて約60%程度の比重のため軽く、重さによる身体への負担が軽減されます。


理由⑤ 錆びにくく、耐久性が高い

チタンは遷移金属であり元素が安定しているため錆びにくく、耐久性が高いです。


理由⑥ 金属アレルギーを起こしにくい

チタンは元素が安定しているため唾液への金属イオンの溶け出しが少なく、金属アレルギーを起こしにくいです(※)。


(※)チタンが絶対に金属アレルギーを起こさない訳ではありません。レア

ケースですが、チタンが原因で金属アレルギーを起こす場合もあります。


【チタンはインプラントに適した金属】


チタンはインプラントに適した金属です。


現在はセラミックのジルコニアでできたフィクスチャーやアバットメントが登場していますが、セラミックはチタン金属のようなしなやかさに欠けます。ジルコニア製のフィクスチャーやアバットメントはしなやかさに欠けるためインプラントを取り付ける際の「締める力」に対する応力が弱く、破折しやすい点がデメリットです。


上記の理由により、今後も、インプラントパーツの素材はチタン金属が主流として使われていくと予測されます。


今回は「インプラントの素材に「チタン」が使われる理由」をご紹介させていただきました。次回は「上部構造(人工歯)にセラミック(ジルコニア)が使われる理由」についてお話しします。



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