「歯を失ったとき、どんな治療を受ければ良いのか悩む…」
「保険が利くし、ブリッジか入れ歯で大丈夫かな?」
「インプラントが良いって聞くけど、実際はどうなの?」
むし歯や歯周病、不慮の事故などが原因で歯を失ってしまい、「どの治療で歯を補うか」でお悩みの方は少なくありません。
歯を失ってしまった場合は以下の補綴治療(ほてつちりょう)を受けることで失った歯の噛む機能と見た目を回復できます。
<補綴治療の種類>
・インプラント
・ブリッジ
・入れ歯(部分入れ歯・総入れ歯)
今回は、補綴治療の中でも安定性が高くおすすめの「インプラント」のメリットをご紹介します。
■インプラントとは
◎人工の歯根を顎の骨に作る治療法です
インプラントとは、人工の歯根を顎の骨に作る治療法です。
インプラント治療では外科的な手術を行い、ネジのような形をしたチタン金属のフィクスチャーを顎の骨(歯槽骨)に埋め入れます。埋め入れたフィクスチャーは生体的現象によって顎の骨と強固に結合するため安定性が高く、治療後はご自身の歯に近い感覚で硬い物もしっかり噛めるようになります。
■インプラントのメリット
安定性の高さに加え、インプラントには以下のようなたくさんのメリットがあります。
メリット①安定性が高い
インプラント治療では顎の骨に埋め入れたフィクスチャーに連結部品であるアバットメントを接続し、人工歯を取り付けます。
天然の歯の噛む力を100とした場合、インプラントは80~90%程度、噛む力を回復できます(※)。
(※)患者様や症状によって噛む力の回復率が異なります。
上記以下の回復率になるケースもあります。
フィクスチャーは顎の骨と強固に結合するため、人工歯の安定性が高いです。治療後は弾力のあるお肉や繊維質の野菜、硬いおせんべいなど、豊富な種類の食べ物をしっかり噛んで食事を楽しめます。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは60~80%程度、噛む力を回復できます(※)。
入れ歯の場合、部分入れ歯は30~40%程度、総入れ歯は10~20%程度の回復率にとどまることが多いです(※)。
(※)患者様や症状によって噛む力の回復率が異なります。
上記以下の回復率になるケースもあります。
メリット②ほかの歯を傷つけない
インプラントは失った歯の箇所にのみ、治療を行います。ほかの歯を傷つけません。
ほかの歯を傷つけないため、残っている歯の寿命の延伸につながります。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは失った歯の両隣(または片方)の歯を削り、連結した人工歯ブリッジ(人工歯の被せ物)をかぶせます。歯を削るため、ブリッジは残っている歯の寿命が縮みやすいです。
入れ歯の場合、部分入れ歯は両隣の歯にクラスプという金具をかけて使用します。金具をかけた部分がこすられるため、歯のエナメル質が傷つきやすいです。また、食べ物を噛む度に金具によって歯がひき倒されてしまい、金具をかけた歯がグラグラになるケースも。
メリット③違和感が少ない
インプラントは固定式のため、違和感が少ないです。治療後はご自身の歯に近い感覚で人工歯をお使いいただけます。入れ歯のようにずれたり外れる心配がありません(※)。
(※)使用にともない、アバットメントが緩んで人工歯が不安定になる場合があります。
緩みが起きた場合は歯科医院でアバットメントを締め直すことで人工歯が安定します。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは固定式であり、入れ歯と比べると違和感は少ないです。ただし、インプラントと異なりブリッジは歯を失った部分の人工歯に人工歯根がありません。人工歯根がないため、インプラントと比べた場合ブリッジは噛んだときの感触に劣ります。
入れ歯は部分入れ歯、総入れ歯共に取り外し式です。取り外し式で安定性に欠けるため、使用中に入れ歯がずれたり外れるなどのトラブルが少なくありません。補綴治療の中では入れ歯がもっとも違和感を感じやすいです。
メリット④発音しやすい
インプラントは固定式のため、発音しやすいです。治療後は人工歯を気にせず、会話を楽しめます。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは固定式のため、入れ歯と比べると発音しやすいです。
入れ歯は部分入れ歯、総入れ歯共に取り外し式のため違和感を感じやすく、発音しにくくなることがあります。入れ歯のずれや外れによって発音がさまたげられるケースも。
特に総入れ歯は歯ぐきや顎を覆うピンク色の床(しょう)が舌の動きを邪魔してしまい、発音に支障が出やすいです。
メリット⑤自然な白さの歯に近づけられる
インプラントの人工歯(上部構造)は透明度が高いセラミックでできています。透明度が高く光を透しやすい人工歯により、天然歯のエナメル質のような自然な白さの歯に近づけられます(※)。
(※)セラミックの種類によっては歯の白さの
再現性に多少劣る物もあります。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
保険のブリッジ、保険の入れ歯はプラスチック樹脂のレジンでできているため、歯が浮いたような不自然な白さになることがあります。
メリット⑥顎の骨の吸収を起こしにくい
インプラントはフィクスチャーを顎の骨に埋め入れ、人工の歯根を作ります。食べ物を噛んだときに人工歯根を通じて刺激が伝わるため、顎の骨の吸収(骨が溶けてしまうこと)を起こしにくいです(※)。
(※)インプラントが100%、骨吸収を起こさない訳ではありません。
患部の状態によっては骨吸収が起きることがあります。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは失った歯の部分の人工歯に人工歯根がありません。人工歯根がないため噛んだときに顎の骨に刺激が伝わりにくく、骨吸収を起こすことがあります。
入れ歯の場合、部分入れ歯、総入れ歯共に人工歯根がないため噛んだときに顎の骨に十分な刺激が伝わらず、骨吸収を起こすことがあります。
メリット⑦お手入れがカンタン
インプラントは固定式のため、治療後の毎日のお手入れはいつもの歯みがき(+歯間清掃)でOK(※)。入れ歯のように取り外して洗うわずらわしさがありません。
(※)インプラントとお口の健康を保つため、セルフケアに加え、
歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける必要があります。
{ブリッジ、入れ歯の場合}
ブリッジは被せ物と歯ぐきの境目に汚れがたまりやすく、ご自身で汚れを落とすのが難しいです。また、ブリッジは失った歯の部分の人工歯の底にフロスや歯間ブラシを通して汚れを落とす必要があります。
入れ歯は取り外し式のため、毎日取り外してお手入れしなけれなりません。入れ歯のお手入れに加えて残っている歯も磨かなければならないため、お口のケアに手間と時間がかかります。
【インプラントで活き活きとした毎日を過ごしましょう】
歯を失ったとき、保険で安いから、という理由で保険のブリッジや入れ歯を選ばれる方が多いです。しかし、インプラントと比べて保険のブリッジや入れ歯は安定性が低く、食事など、治療後の生活のさまざまな場面でストレスを感じてしまう可能性があります。特に、取り外し式である入れ歯は治療後に違和感やストレスを感じやすいです。
ブリッジや入れ歯で歯を補えたとしても、違和感やストレスが強いと何事も心から楽しみにくくなります。合わないブリッジや合わない入れ歯のせいで食事を楽しめなかったり、入れ歯のせいでおしゃべりしにくい、入れ歯のずれや外れが気になりお出かけしづらいなど、保険のブリッジや入れ歯でお悩みの方は少なくありません。
安定性が高く、ずれや外れを気にせずに思いっきり食事や会話を楽しみたい方はインプラントがおすすめです。人工歯根により高い安定性を持つインプラントであれば、治療後に何でもしっかり噛んで食事できます。食事が楽しくなると自然と生活にハリが出て、毎日を活き活きと過ごしやすくなります。