人工歯根を埋め入れるため、インプラントは安定性が高いです。治療後は硬い物もしっかり噛めるようになります。
安定性の高さに加え、ほかの歯を傷つけない、発音しやすいなどメリットが多いインプラント。
ブリッジや入れ歯など、歯を補う方法はほかにもあります。それなのになぜ、特にインプラントの安定性の高さが注目されるのでしょうか?不思議に思われる方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、インプラントの構造を解説しながら「インプラントが高い安定性を持つ理由」をわかりやすくご説明いたします。
インプラントをご検討中の方、また、現在インプラントを入れている方のご参考になる内容となっておりますので、ぜひ、記事をお読みいただけると幸いです。
目次
■インプラントの構造
◎インプラントは3つのパーツから成り立ちます
種類やメーカーによって構造に多少の違いはありますが、インプラントは以下の3つのパーツから成り立っています。
〇フィクスチャー
フィクスチャーとは、顎の骨に埋め入れる人工の歯根です。フィクスチャーはネジのような形、または、円筒状の形をしており、インプラント体とも呼ばれます。
インプラント治療では歯ぐきを切開し、患者様の顎の骨(歯が植わっている歯槽骨(しそうこつ))にフィクスチャーを埋め入れます。
埋め入れたフィクスチャーはオッセオインテグレーションという生体的現象によって顎の骨と強固に結合するため非常に安定性が高く、治療後はご自身の歯に近い感覚で硬い物もしっかり噛めるようになります。
{なぜ、フィクスチャーが顎の骨と強固に結合するの?}
インプラント治療で用いるフィクスチャーは主にチタン金属でできています。
チタンは骨と結合しやすい性質があり、チタンでできたフィクスチャーを顎の骨に埋め入れることでフィクスチャーの表面に骨組織が入り込み、生体的にがっちりと結合します。
接着剤でくっつけるような化学的接着ではなく、チタン金属のフィクスチャーの表面に生体的に骨が入り込むため、ちょっとやそっとではズレたり外れない強固な結合が生まれるのです。
〇アバットメント
アバットメントとは、顎の骨に埋め入れた人工歯根であるフィクスチャーと上部構造(人工歯)を連結するパーツです。
顎の骨に埋め入れたフィクスチャーの先端にアバットメントを取り付け、アバットメントに人工歯を装着することでインプラントが完成します。
アバットメントはフィクスチャーと人工歯を連結するほか、人工歯を安定させるための土台にもなります。
〇上部構造(人工歯)
上部構造とは、歯ぐきから上の歯の部分にあたる人工歯です。被せ物と呼ぶ場合もあります(むし歯治療などで用いる被せ物とは別)。
人工歯は食べ物を噛むために欠かせないパーツです。現在はジルコニアセラミック製の人工歯が主流であり、高い透明度を持つジルコニアセラミック製の人工歯によって自然の歯に近い美しさ・白さを再現できます。
◎フィクスチャーとアバットメントが一体化した1ピースタイプのインプラントも
インプラントはフィクスチャー、アバットメント、上部構造の3つのパーツで成り立ちます。3つのパーツで構成されるインプラントのことを「2ピースタイプ」と呼びます。
2ピースタイプのほか、フィクスチャーとアバットメントが一体化した1ピースタイプのインプラントもあります。
■インプラントパーツの費用は?
◎総額に含める場合もあれば、インプラントパーツの費用を別に設定しているクリニックもあります
インプラント治療で気になるインプラントパーツの費用ですが、クリニックによって費用の設定の仕方が異なります。
インプラントパーツの費用を総額に含める場合もあれば、手術費とは別にインプラントパーツの費用を設定しているクリニックもあります。また、インプラントパーツの内、フィクスチャーとアバットメントは総額に含めても、上部構造(人工歯)は別に費用を設定するなどのケースも。
インプラント治療を受ける際は、そのクリニックではインプラントパーツを費用に含めているのか、もしくは、別に設定しているのかをきちんと確認しておきましょう。確認しておかないと、安いと感じて受けたインプラント治療で手術費とは別にパーツの費用を請求され、「こんなに高くなるとは思わなかった」とがっかりしてしまうことも。
【インプラントの基礎知識を身につけ、ご納得した上でインプラント治療を受けることをおすすめします】
今回は「インプラントの構造」について解説をさせていただきました。
インプラントの構造など、インプラントの基礎知識を身につけることでそのクリニックがどのような手術方法・方針でインプラント治療を行っているかをより理解しやすくなります。
また、インプラント治療を受けるかどうかを判断するときやインプラントのクリニック選びの際にも基礎知識が役立ちます。
インプラントをご検討中の方はインプラントの基礎知識を身につけ、クリニックごとの特色や治療に対するアプローチの仕方をよく見極めてご納得した上でインプラント治療を受けることをおすすめします。