「ウチの子、出っ歯のような気がする…」
「子どもがいつもポカンと口を開けている…」
「小児矯正を受けさせたいけど、何歳頃から始めれば良いのかな?」
お子さまへの小児矯正をお考えになるも、何歳頃から治療を始めれば良いのか迷われる方も多いかと思いかと思います。
小児矯正は乳歯が生え揃う3歳頃から始められます。ただし、お子さまや歯並び・顎の状態によっては5歳頃になってから矯正を始めた方が良いケースも。
今回は「小児矯正を始めるタイミング」についてのお話です。
目次
■小児矯正を始めるタイミング
◎乳歯が生え揃う3歳頃から小児矯正を始められます
小児矯正は乳歯が生え揃う3歳頃から始められます。
「3歳?ちょっと早いんじゃないの?」と感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、3歳頃から矯正を始めることでお子さまの顎の成長を利用する小児矯正「咬合誘導(こうごうゆうどう)」を行えるメリットがあります。
{3歳頃の咬合誘導で行うこと}
3歳頃の小児矯正では顎の健全な成長をうながす咬合誘導を主に行います。
咬合誘導はお子さまの顎の健全な成長をうながし、将来の綺麗な歯並びにつなげる矯正方法です。
3歳頃に行う咬合誘導では就寝中にマウスピースを装着して舌の位置の正常化を目指すと共にお口周りの筋肉バランスを整え、顎の健全な成長、および、歯並びの改善につなげます。マウスピースの装着により受け口の症状を改善する目的もあります。
◎5歳頃から小児矯正を始めた方が良い場合も
小児矯正は3歳頃から始められます。ただし、5歳頃になってから始めた方が良い場合も。
5歳頃から小児矯正を始めた方が良い場合があるのは、3歳頃から治療を始めても最後まで矯正を続けられないお子さま・保護者様が多いためです。
お子さまが小さなうちに行う小児矯正(1期矯正:3~12歳頃)では、就寝中+日中1時間程度のマウスピースの装着やお口のトレーニングにより、顎の健全な成長をうながす咬合誘導を主に行います。
咬合誘導は通常の矯正治療(成人矯正)のような固定式のワイヤー装置をつけたり一日中マウスピースを装着する矯正は行わないため、成人矯正と比べると負担は軽めです。ただし、負担が軽いとは言っても咬合誘導では就寝中や日中のマウスピース装着、毎日のお口のトレーニングが必要になります(※)。
(※)小児矯正の種類により、治療内容が異なります。
3歳頃のお子さまはまだ赤ちゃんです。マウスピースの装着や毎日のお口のトレーニングを「めんどくさい」「嫌だ」「もうやりたくない」と感じ、やめてしまうケースが少なくありません。また、3歳頃のお子さまはマウスピースの装着時間を守れなかったり、プログラムどおりにお口のトレーニングを行えない場合もあります。
保護者様も、お子さまが嫌がっているのに無理に矯正を続けさせることに疲れてしまい、「こんなに嫌がるなら、もういいか」「子どもがちゃんとマウスピースの装着やお口のトレーニングをできないし、続けても意味がないかな」と、あきらめてしまうケースが多いです。
上記のような理由により、まだ赤ちゃんである3歳頃からではなく、お子さまによっては、自意識(歯並びの見た目や容姿に対する自意識)が芽生え始める5歳頃、または、小学校入学以降の7歳頃になってから小児矯正を始めた方が最後まで治療を続けやすいケースがあります。
{5歳以降が小児矯正におけるベストのタイミング、という訳ではありません}
3歳頃からの小児矯正をきちんと最後まで行えるケースももちろんあります。また、3歳頃からの咬合誘導により舌位置の正常化や顎の成長促進、歯並びの改善が見込める場合も。必ずしも、5歳頃や7歳以降になって小児矯正を始めることがベストという訳ではありません。
■小児矯正の内容
小児矯正ではお子さまの年齢に合わせ、以下の2つの時期に分けて治療を行います。
・1期治療 3~12歳頃まで(乳歯列期、混合歯列期)
・2期治療 12歳頃~成人(18~20歳頃)まで(永久歯)
・1期治療で行うこと
{お子さまの顎の健全な成長をうながす矯正治療「咬合誘導」を行います}
小児矯正の1期治療では、お子さまの顎の健全な成長をうながす「咬合誘導」による矯正治療を主に行います。
咬合誘導はマウスピースや拡大装置を用いて顎の骨の健全な成長をうながし、歯列を適切に広げるのが目的です。顎と歯列が適切に広がることで生え変わりの際にまっすぐ永久歯が生えやすくなり、将来の綺麗な歯並び、および、バランスの取れたお顔立ちにつながります。
咬合誘導の種類によってはお口の筋肉トレーニングを行う物もあります。お口の筋肉トレーニングを行うことでお口周りの筋肉バランスが整い顎の健全な成長がうながされると共に、お子さまに正しいお口の使い方が身につく効果を期待できます。
<正しいお口の使い方>
・のどの筋肉だけを使って正しく飲む
・全体の歯を使ってしっかり噛む
・会話と食事以外はお口を閉じ、鼻で呼吸する
{重度の歯並びの乱れを除き、1期治療では通常の矯正治療は行いません}
1期治療は咬合誘導がメインです。重度の歯並びの乱れを除き、原則として1期治療では通常の矯正治療(装置で力をかけて歯を動かす矯正治療)は行いません。
ただし、重度の歯並びの乱れがあり、咬合誘導による対処が難しい場合はワイヤー矯正やマウスピース矯正などの通常の矯正治療を行うことがあります。
・2期治療で行うこと
{通常の矯正治療を行います}
小児矯正の2期治療ではワイヤー矯正やマウスピース矯正など、装置で力をかけて歯を動かす通常の矯正治療(成人矯正と同様)を行います。
{成長期に行う2期治療は効率的、かつ、スピーディーに歯を動かしやすいです}
2期治療にあたる14歳前後の成長期は代謝が活発であり、一生の中でもっとも歯を動かしやすい時期です。
代謝が活発な成長期に小児矯正の2期治療を行うことで効率的、かつ、スピーディーに歯を動かしやすくなります(※)。
(※)お子さまや歯・顎の状態により、歯の動きやすさが異なります。
お子さまによっては成長期でも歯が動きにくいケースがあります。
【お子さま・保護者様が矯正の意味や目的をしっかり理解しておくことが大切です】
1期・2期を問わず、小児矯正は治療を途中でやめてしまうケースが少なくありません。最後まで治療を続けるためには、お子さま・保護者様が矯正の意味や目的をしっかり理解しておくことが大切です。
「自分がしている矯正にはどんな意味があるのか」(お子さま)
「何のために子どもに矯正治療を受けさせるのか」(保護者様)
小児矯正の意味や目的を理解しておくことで「綺麗な歯並びのために頑張ろう」「子どものために小児矯正のサポートをしてあげよう」という意識が芽生えやすくなります。お子さま・保護者様にポジティブな意識が芽生えることによって矯正中のモチベーションUPにつながり、最後まで矯正を続ける可能性を高められます。